近年、クレジット取引は消費者の見えない部分で複雑化しており、取引被害に遭う人が増加しています。
それに対応して、法律の改正も継続的に行われていますが、対応しきれていないのが現状です。
クレジット取引被害の回復を難しくしている原因は、ずさんな決済代行業者の関与や国際ブランド(VISAやMasterCardなど)の普及による越境問題化があります。
その結果、思いもよらず悪質な販売業者との間でクレジット取引をしてしまい、被害回復をしようにも取引相手の情報が分からない、という事態が発生しています。
そのような場合、クレジット会社も販売会社を把握していないことが多く、被害の回復が困難となります。
平成28年の割賦販売法改正により、ある程度のクレジット取引環境の改善は見込まれますが、十分とは言えません。
それでは、泣き寝入りするしかないのか。販売業者の詳細が不明な状況においては、現状では、国際ブランドカード会社に対して「チャージバック・ルール」の利用を申し立てるという方法があります。
「チャージバック・ルール」とは、国際ブランド規約によって定められた自主的な返金手続きであり、その内容は公開されていませんが、条件を満たす場合には既払金の返還を受けることができます。
ただし、利用申し立てができるのは国際ブランド加入者であるクレジット会社であり、消費者からの申し立てはできないことになっています。
そのため、消費者は、クレジット会社に対してチャージバック・ルール利用申し立てをするよう働きかける必要があります。
消費者自らクレジット会社と交渉するのは難しい場合もあります。その場合には、消費者問題に詳しい認定司法書士や弁護士にご相談ください。